自分の家すら簡単には直せない時代に。改正大気汚染防止法という名の『アスベスト(石綿)規制強化』
ニュースではあまり報じられていませんが…
令和2年に大気汚染防止法が改正され、
アスベスト(石綿)規制強化が盛り込まれました。
(令和3年4月1日施行)
大気汚染の減少は喜ばしいことですが、
この改正は、リフォームを検討される方にとって
大きな負担となる内容を含んでいます。
アスベスト調査・撤去費用は住宅所有者の負担に
今回の改正により、
家の持ち主がアスベストの調査・撤去・処分費用を負担することが義務付けられました。
アスベストと聞くと、
鉄骨に吹き付けられたフワフワしたグレーの綿をイメージされる方も多いですが、
今回の改正では、**石綿含有成形板(レベル3建材)**まで規制対象が広がっています。
実際には、多くの住宅建材にアスベストが含まれている可能性があります。
「うちはアスベストなんて使ってない」と思っていませんか?
2006年に「0.1%含有製品の使用禁止」が施行される以前に建てられた建物には、
各所にアスベスト含有建材が使われている場合が多いと考えられます。
どのような調査を行うのか?
調査費用はどれくらい?
調査は通常、
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一次調査(設計図など書面確認)
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二次調査(現場で目視+必要に応じて検体採取)
この2段階で行われます。
検体採取が必要な場合、
サンプルをラボ(成分分析機関)へ送り、
アスベスト含有の有無を確認します。
※調査を行わず、「みなし」として対応するケースもあります。
■ 調査費用(概算)
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一般調査費用:約5万~15万円程度
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成分分析費用:1検体あたり3万~5万円程度
※今後需要が増えると、さらに費用が上がる可能性があります。
解体・処分の費用は?
工事規模や会社によって異なりますが、
例えば戸建て住宅の浴室(在来工法)の天井材に
石綿含有スレートボードが使われていた場合――
※専門業者に一括した場合
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解体・処分費:約30万円(税別)
(※調査費別)
たった1.6m×1.6m程度の浴室天井を撤去するだけで、
これだけの費用が掛かるのが現状です。
リフォーム会社・解体業者も資格必須に
2023年10月から、
アスベスト調査には資格保有者が必要となりました。
これからリフォーム会社や解体業者を選ぶ際には、
**「資格を持っているか」**をチェックするのも良い判断材料になります。
おわりに
アスベスト問題は、
本来であれば国と建材メーカーが責任を持って対応すべきだったと、私は考えています。
日本では
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1896年頃から石綿の輸入が始まり
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1970年には年間30万トン輸入
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1970〜1980年代に大量使用(建材への使用が最多)
と進みましたが、
実は1900年代初頭には、海外では
すでにアスベストの健康被害(石綿肺・肺がん・中皮腫)が報告されていました。
それにもかかわらず、
2006年になってようやく「0.1%含有禁止」
2012年になってようやく「全面禁止」
という長い年月を要しています。
最終的には、
この問題は住宅所有者と建築業界に「丸投げ」される形になりました。
法律で定められた以上、受け入れるしかありませんが、
どうしても割り切れない思いがあります。
四季があり、優しい人が多い国なのに。
本当に、もったいない国と感じます。
※なお、アスベスト含有成形板が使われていても、
通常の生活で健康被害が生じるわけではありませんので、
ご安心ください。
(あくまで私個人の意見です)
では、また (T_T)