「昔使っていた道具を触った瞬間によみがえった気持ち」

いやね?
今日、久しぶりに古い工具箱を開けたんです。
——そこでちょっと胸がざわっとしました。

あの頃の空気が、指先から一気に戻ってきて。
なんでだろう、と自分でも少し戸惑ったんですよね。

続きを聞いてください。

 

 

工具箱の中に、
若い頃ずっと使っていたメジャーがあったんです。
傷だらけで、数字の印刷も薄くなっていて。

いや、分かってるんですよ。
ただのメジャーなんですけど……
触れた瞬間、当時の現場の空気がふっと戻ってきて。

“図面どおりにいく日は少ない”なんて思い出したりして。
それでも測って、合わせて、また測って……
僕らの仕事って、あの地道な繰り返しなんですよね。

お客様が、
「キッチンの高さ、実際に立ってみないと分からなくて」
と、そっと天板に触れた瞬間。

あの感覚、ちょっと分かるんです。
図面の数字より、手の位置のほうが本音を語るときがあって。


“道具が語ること”ってあるんだなと改めて思いました。
メジャーを手にしていたあの頃、
何かを測っているつもりで、
実は見えていなかったものもあったのかもしれない……
そんなことを静かに思ったんです。

——あの一瞬が、じんわり刺さったんです。

 

ユーモアと言うほどでもないけど、
工具箱の底から出てきた刃が欠けたカッターナイフには
「忘れててごめん(笑)」とツッコミたくなる状態でしたけどね。

 

 

道具って、ただの物じゃなくて。
触れた時間ごと、思い出させてくれるんだなと感じました。

明日はもう少し、
“手に伝わる感覚”を大事にしてみようと思います。

ゆっくり整えていけばいい。
そんな一日でした。

 

 

 

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