川崎市の中学校で大工体験の講師をしてきた日。女子生徒2人が最後までやり切った話

先日、川崎市の中学校で「技能職者に学ぶ」という体験学習の講師として参加した。
大工体験のブースで、生徒は20名ほど。講師は建設組合の仲間たち8名。
生徒3~4人で8テーブルに分かれて講師も1人づつ担当した。
その中で、僕が担当したのは“たった2人”——唯一参加してくれた女子生徒のテーブルだった。
普段、釘を打つなんてほとんど経験がないから、2人とも最初は玄能が重そうで、
釘を叩いても一向に入って行かない・・。
見ていて手を貸したくなる瞬間が何度もあった。
でも、手伝いすぎたら彼女たちの貴重な体験が薄れてしまう。
だから、ぐっとこらえて「できるだけ自分でやってみよう」と見守ることにした。
何本も釘を打つうち、手首が痛くて軽く振りながらも、
彼女たちは最後まで諦めなかった。
そして気づけば、作業台の上には、ちゃんと“自分の手で完成させた椅子”が置かれていた。
マスク越しで声はあまり聞こえなかったけれど、
あの目の輝きはたぶん、言葉以上だったと思う。
きっと、今日のあの時間が、彼女たちにとって
「何かをつくるって、悪くないな」
そんな小さな記憶になってくれたら、とても嬉しい。


