人見知りのはずなのに、気づけば人の話を聞く仕事をしている。不思議だけど、これはこれで好き。

 

先日の打ち合わせで、
リフォームの希望をじっくり聞く時間があった。
気づけば相手の表情ばかり追っていて、
どんな呼吸で言葉を選んでいるのか、
つい耳を澄ませてしまう。

仕事だからと言えばそれまでなんだけれど、
ふと不思議になる瞬間がある。
昔は話を振られるだけで肩が固まっていたのに、
いまは相手が話しやすいように
間を整えることが
少しだけ上手くなってきた気がする。

―――

このあたりで、
心の中でひっかかる思いがひとつ出てきた。

「元々人見知りなのに、
人の話を聞く仕事をしているなんて、
やっぱりどこかしっくり来ない。」

でもこの違和感が、
案外きらいじゃない。
毎回ほんの少し、
救われている気がする。

この方も、
最初は緊張した面持ちだった。
けれどキッチンの話に触れた瞬間、
ふっと肩の力が抜けるのが分かった。
ああいう変化を見ると、
こちらの呼吸までそっと整っていく。
現場で覚えた“間”って、
こういうところで生きるんだと思う。

帰り際、
「話せて良かったです」と言われた。
何度聞いても胸の奥が温かくなる言葉だ。
苦手だと思っていた部分が、
気づけば仕事の芯になっている。
人生は思っているより
やわらかいのかもしれない。

明日もまた、
ゆっくり呼吸を合わせながら
人の話に耳を澄ませていこうと思う。

 

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