料理をしなかった僕が、キッチンで見つけたもの

いやね?
今日の打合せでキッチンの話をしていたら、
ふと昔の自分の“不甲斐なさ”を思い出したんです。

あの頃の僕、
料理を全くしなかったのでキッチンの提案にどこか自信が持てなかったんですよ。
その揺れが、急に胸に返ってきて。

 

「いや、分かってるんですよ」
当時の僕は、料理は妻に任せっきりで。
キッチンに立つことなんて、ほとんどなかったんです。

でもね。
キッチンの話をすればするほど、
“使う人の気持ち”が解っていない自分が
どうしても気になって。

ある日ふっと、
——これじゃダメだな、って思ったんですよ。

そこからでした。
釣った魚を捌くようになって
苦手だった魚が食べられるようになって。
妻にも喜ばれて、嬉しくなって……そうしているうちに。

「キッチンって、
 こんなに“使い勝手”が大事なんだ」って。

高さが少し合わないだけで肩が張ったり、
ちょっと遠い位置に調味料があるだけで
料理の流れが途切れたり。

使ってみて初めて分かる“間”ってあるんですよね。
手を動かさないと気づけないことが、キッチンにはあるんだなと。


ふぅ……
その気づきがあってから、
僕は料理がますます好きになりました。
いや、正直なところ、救われた気がしたんです。

今日のお客様が
「毎日立つ場所だから、気持ちよく使いたいんです」
と小さく話された時。

ああ、あの日感じた揺れが
ちゃんと今につながってるな、と。

 

料理を覚えたことで、
キッチンを見る目が少しずつ変わっていきました。
今では、キッチンリフォームは僕の得意な提案の一つです。

明日はもう少し、
“手を動かす人の気持ち”に寄り添える気がします。

ゆっくり深めていけばいい。
そんな日でした。

 

 

 

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